ADHD診断基準

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◇国際疾病分類第10版(ICD-10

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注:他動性障害の研究用診断では、さまざまな状況を通じて広範に、かついつの時点でも持続するような、異常なレベルの不注意や多動、そして落ち着きのなさが明らかに確認されることが必要である。またこれは、自閉症や感情障害などといった他の障害に起因するものではない。


不注意:次の症状のうち少なくとも6項が、6ヶ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その子どもの発達段階と不釣り合いであること。


(1)学校の勉強・仕事・その他の活動において、細かく注意を払えないことが多く、うっかりミスが多い。

(2)作業や遊戯の活動に注意集中を維持できないことが多い。

(3)自分に言われたことを聴いていないように見えることが多い。

(4)しばしば指示に従えない、あるいは学業・雑用・作業場での仕事を完遂することができない(反抗のつもりとか指示を理解できないためではない)。

(5)課題や作業をとりまとめるのが下手なことが多い。

(6)宿題のように精神的な集中力を必要とする課題を避けたり、ひどく嫌う。

(7)学校の宿題・鉛筆・本・玩具・道具など、勉強や活動に必要な特定のものをなくすことが多い。

(8)外部からの刺激で容易に注意がそれてしまうことが多い。

(9)日常の活動で物忘れをしがちである。


過活動:次の症状のうち少なくとも3項が、6ヶ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その子どもの発達段階と不釣り合いであること。


(1)座っていて手足をモゾモゾさせたり、身体をクネクネさせることがしばしばある。

(2)教室内で、または着席しておくべき他の状況で席を離れる。

(3)おとなしくしているべき状況で、ひどく走り回ったりよじ登ったりする(青年期の者や成人ならば、落ち着かない気分がするだけだが)。

(4)遊んでいて時に過度に騒がしかったり、レジャー活動に参加できないことが多い。

(5)過剰な動きすぎのパターンが特徴的で、社会的な状況や要請によっても実質的に変わることはない。


衝動性:次の症状のうち少なくとも1項が、6ヶ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その子どもの発達段階と不釣り合いであること。


(1)質問が終わらないうちに、出し抜けに答えてしまうことがよくある。

(2)列に並んで待ったり、ゲームや集団の場で順番を待てないことがよくある。

(3)他人を阻止したり邪魔することがよくある(例;他人の会話やゲームに割り込む)

(4)社会的に遠慮すべきところで、不適切なほどに過剰に喋る。

発症は7歳以前であること。



出典:『ICD-10 精神および行動の障害―DRC研究用診断基準ー』(中根充文ほか訳 1994年 医学書院)』(中根充文ほか訳 1994年 医学書院)

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アメリカ精神医学会診断基準第4版(DSM-Ⅳ)

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A. (1)か(2)どちらか

(1) 以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの:

不注意

(a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
(b) 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
(c) 直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
(d) しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)。
(e) 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
(f) (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
(g) (例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要なものをしばしばなくす。
(h) しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
(i) しばしば毎日の活動を忘れてしまう。


(2) 以下の多動性-衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:


多動性


(a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
(b) しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
(c) しばしば、不適応な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない。)
(d) しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
(e) しばしば“じっとしていない”またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する。
(f) しばしばしゃべりすぎる。


衝動性


(g) しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう。
(h) しばしば順番を待つことが困難である。
(i) しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)。


B. 多動性-衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている。

C. これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校[または仕事]と家庭)存在する。

D. 社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない

E. その症状は広汎性発達障害精神分裂病、またはその他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例えば、気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。


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◇大人のADHD

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とある、大人のADHDの専門機関にて言われている大人のADHDの診断の際に、下記の項目において多数あてはまる場合があると、ADHDの可能性が大だと言われています。

① 活動していないと落ち着かず、家ですわって静かに過ごしていること(本を読んだり、テレビを見たりして)ができない

② 注意力や集中力に欠けるため、他人と話していても話の筋を追えなかったり、内容を忘れたりする。
そのために、面と向かって話しかけているのに、話を聞いていないような様子に見えると他人にしばしば指摘される。

③ 単調な仕事や読書、計算を持続することが苦痛である

④ 約束の時間に遅れたり、約束を忘れたり、締め切りに間に合わなかったりすることが多い

⑤ 仕事や家事などの課題を遂行できず、途中で投げ出してしまう

⑥ 短気で些細なことで自分を見失い、しばしば爆発的に怒ってしまう

⑦ 鍵や財布など生活・仕事の必需品を、頻繁になくす

⑧ 騒音や雑音があると、すぐに注意が散漫になる

⑨ しばしば他人の質問をさえぎって、一方的にしゃべりだしてしまう


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